ヒトの老化におけるマルチオミクスプロファイルの非線形ダイナミクス
- 2025年11月10日
- 論文紹介
久しぶりに面白い論文に出会えた。「博士が愛した論文」の中で小林武彦氏が紹介していたので確認してみた。2024年のNature agingに発表されたものだ。108名の被験者を追跡したコホート研究で、transcriptomics、proteomics、metabolomics、cytokine、lipidomics、身体各所のmicrobiomeなど5405のサンプル、135,239種類の項目を調べた。すると調べた8割の項目は“非線形”に変化し、その変化は44歳と60歳の二つにピークがあった。つまり老化は徐々に進むのではなく、44歳と60歳で急にガクンと進むということだ。老化は熱力学的な“崩壊”ではなく、遺伝子の“プログラム”と考えるほうが自然であると小林氏は述べている。44歳くらいになるとカルビが食べられなくなってきたり、60歳になると白髪が増えたりとなんとなく腑に落ちる気がする。ちなみに44歳の変換点はチンパンジーの寿命にあたり、心臓血管系の不調で命を落とすが、共通祖先を持つヒトはこの変換点を乗り切ったために長寿になったのだろう、、、と小林氏はコメントしている。
Free PMC article
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39143318/
