温泉バンザイ!
- 2025年2月15日
- Monthly Essay
温泉は大好きだ。足裏が拒否するような温泉は無理だが、何度か足を運んでいるような温泉は楽しみしかない。特に横に寝そべる浅い湯舟は全身脱力して入ることができるのでリラックス効果が高いように思う。椎間板ヘルニアに苦しんでいたときも、このタイプの温泉のお世話になった。たまにドカドカと湯舟に入ってきて、ドカドカと出ていく客がいるがあれは勘弁してほしい。大きな波が私の顔を襲うことがあるからだ。途中に岩やちょっとした仕切りがあっても波は二手に分かれた後、合流してやってくる。「電子も同じようなふるまいをするから電子は粒子というより波なんだよね」と考えているくらいだったらいいが、縦揺れするほどの大波がやってきたら困る。温泉では波をあまり立てないように“高飛び込みの選手”気分になってほしいものだ。
波を立てるような客は外人率が高いかもしれない。大浴場や露天風呂に入るときのマナーを知らないのだから当然といえば当然だ。以前、北海道真狩村の真狩温泉に行ったときのこと。そこの露天風呂はごつごつとした岩がごろごろある岩風呂で、露天風呂としては少し小さめのものだった。なので客が10人も入ると出入りするときに足を引っかけたりしやすい。みんな日本人は出るときに「失礼します」という意味で片手を縦に振りながら、他の客の足を踏まないよう気を付けながら出ていく。それを見ていた外人さんが、両腕をクロスしてX状態にしながら出ていった。「X Japanか~」と心の中でつっこんだが、彼なりのマナーの実践に微笑んだものだ。
温泉はいいことばかりではない。年とともに肌から油分がなくなっていくと、温泉に入った後にやたらかゆくなる。なので旅行先で何度も温泉に入るときには毎回身体を洗わないことにしている。それでもかゆいので、無意識にいろんなところをボリボリ。挙句の果てに湯舟につかりながら搔いている。湯上りにクリームを塗りこんでもかゆい。
皮膚の表面が若い時とは違うというのは、タッチパネルに教えてもらった。特にアスレチックジムにあるランニングマシーンのタッチパネルはいじわるだ。いくらたたいても反応しない。ジムのスタッフに「反応しないんですけど~」と言っても、スタッフが触るとサクサク動くので、、、いじわるだ。
私の友人が『年を取ると体内の水分量が下がる』理由に答えた。「火葬しやすいように」と。ならば『死んだらどうして北枕にするのか』と聞くと「死ぬと磁石になるから」とのこと。油分も水分も失ってきている私は彼のような哲学者にはなれないが、湯上りにクリームを塗りながら、高齢者用クリーム風呂を作ってほしいと叫んでいる。予算は介護保険料から出るに違いない。