7月に想うこと
- 2026年7月6日
- Monthly Essay
今年もこの季節がやってきた。車のドライブにあまり興味のない私が、毎年7月には必ず高速を飛ばして1時間ほど離れたところに向かう。今回は私の都合でいつもより2週間ほど遅れてしまった。いつも高速の降り口を間違いそうになるのだが、今回は無事一般道に出ることができた。1年前の記憶をたどりながら向かう先は、、、お墓である。お盆でもないのに墓参りをするのは私の親友が8年前に亡くなったからである。
彼は大学の同級生だったのだが、大学在学中はほとんど交流がなかった。私が唯一覚えている在学中の会話は以下だけ。
私『どうして真冬なのにデッキシューズを裸足ではいてるの?』
彼『それが“粋”というものだから。』
私『なるほど。』そう、彼はトラッド愛好家だったのだ。
卒後は大学同窓会の仕事で顔を合わせるくらいだったが、あるとき彼が講演会を企画したいと連絡してきてから急接近した。最初は打ち合わせで一緒に飲んでいたが、途中から講演会関係なしに飲むようになった。当時40代後半の“おじさん”二人が飲みに行くというと、“普通は”居酒屋あたりを想像されるだろうが、我々はなんとフレンチやイタリアンのレストランに行った。(別に怪しい関係ではありません)二人ともワインが好きで、たばこも吸わないので、自然とそういうところでワイングラスをフリフリしながら話をしていたのである。
彼は大阪の南の方の出身で、たまに“河内弁”の入る豪快な話法を使う。以前、海外の空港のカウンターで、すべて英語で話をしていたにもかかわらず、後ろに並んでいた日本人に『関西から来られたのですか?』と聞かれたらしい。どこから来たかがわかるような内容は一切話していなかったらしく、どう考えても彼の英語が“関西人英語”だったとしか考えられない。(どんな英語?)行動力があるので、東京に新しいフレンチレストランができて人気があるというような噂を耳にすると一人で食べに行ってしまう。
とある星付きフレンチレストランに行ってきた彼の感想。
彼『味はまあまあ。ワインも普通。でも、客層が悪かった。』
私『ふう~~ん。』
私はニコニコしながら心の中で『お前が一番(客層として)悪かったやろ~。』と確信。
8年前に大動脈解離で亡くなってしまった彼。もうワイングラスをフリフリしながらの会話も叶わない。今年も缶ビールを墓前に置いて手を合わせてきた。きっと墓の中で彼は呟いているに違いない。『俺はカリフォルニアのピノノアールが好きなの知ってるよね。』贅沢言ったらアカン。合掌。